全ての生き物は微生物によって生かされている！

地球の歴史と微生物の歴史は繋がっており、40億年前の海の中で最初に現れた生物は細菌に似た存在でした。

これらの微生物は『古細菌』や『真正細菌』などと呼ばれ、やがて原核生物や真核生物へと進化しました。

進化の過程で光合成を行う微生物も現れ、彼らは有機物を代謝して植物などの成長を助け、長い年月をかけて、地球環境の形成に貢献しました。

はるか過去の話のようですが、実は今も私たちの体内に類似の状況が存在しています。それが私たちの腸内です。

人間の腸内には数百種類以上、700兆個以上のバクテリア（微生物や細菌）が存在しています。彼らは腸壁に集まって共同生活を送っています。この様子はまるで花畑のように見えるため、「腸内フローラ」と呼ばれています。

腸内は暖かく、まさに原始の海のような環境です。微生物たちにとっては非常に居心地が良い場所なのです。

そして、私たちは日々食事を摂ることで腸内から栄養を吸収していると考えていますが、実際は少し異なります。

私たちの摂取した食物は、腸内フローラに住む細菌たちによって分解されます。

彼らは食物を分解する過程でビタミンやアミノ酸などの栄養素を生成し、さらに免疫物質や脳内伝達物質であるドーパミンなども作り出します。私たちはこの栄養素を腸から吸収することで生きるために必要な栄養を得ることができます。

つまり、腸の主な役割は吸収です。その吸収には腸内細菌が作り出す栄養素が欠かせず、これらの働きがなければ私たちや他の生物は生きていくことができません。

最近は除菌ブームもあり、細菌と聞くと何か悪いものと考える傾向がありますが、実際には細菌たちとの共存によって生物は生かされているのです。